田舎でアウトドアガイドとして働く、リアルな年収と経費の話

ガイド業の裏側

地方での独立・開業を考えたとき、「収入は不安定だけどやりがいがある」という言葉だけでは、正直判断がつかないのではないでしょうか。

実際にどのくらいの数字になるのか、経費や税金はどれくらい引かれるのか、暇な時期はどうやって食べていくのか。

そこまで踏み込んだ話を知りたい人は多いはずです。

私は北海道の道北でアウトドアガイド業(カヌーツーリング、ドリフトボートフィッシングガイド)を個人事業主として営んでいます。

この記事では、「月商80万円」という一見景気のいい数字の裏側にある、年間トータルの売上・経費・保険料まで、自分の実際の数字で書きます。

地方で個人事業を考えている方が、数字のイメージを持つ材料にしてもらえたらと思います。

「月商80万円」だけを見ても、実態はわからない

月商80万円になるのは、5月・6月・10月・11月のボートフィッシングの繁忙期だけです。

それも毎日予約が埋まるわけではなく、天候や川のコンディション、お客様の予定によって予約数は大きく変わります。

7月から9月はカヌーツアーやネイチャーボートツアーが中心になりますが、繁忙期ほどの数字にはなりません。

冬はスノーシューガイドなどの仕事もありますが、こちらも毎日仕事があるわけではありません。

自然を相手にする仕事だからこそ、季節によって収入が大きく左右されます。

2025年の年間売上は、バイト収入を含めて500万円弱

繁忙期の月商だけを見ると景気がよさそうですが、2025年の年間の売上は、閑散期のアルバイト収入を含めても500万円弱でした。

ここからさらに、ガソリン代や消耗品などの経費、国民健康保険料、住民税がかかります。

売上と手取りは、まったく別のものです。

「月商80万円」という一部の数字だけが独り歩きすると、実態より景気のいい仕事に見えてしまいます。

年間を通して見て初めて、繁忙期と閑散期の差がとても大きい仕事だということが分かります。

閑散期は何をしているのか

「暇な時期は何をしているんですか?」とよく聞かれます。

答えはアルバイトです。

観光協会の仕事を手伝ったり、農家さんの仕事を手伝ったり、その時々で必要とされる仕事をしています。

春には山へ入ってシラカバの樹液を採取したり、植物の種を採取したりします。

傷んだ机を修理することもあれば、子牛を入れる古屋を作ることもあります。

冬は屋根の雪下ろしをすることもあり、主な現場は牛舎です。

スコップで雪庇を落とし、ママさんダンプで運び、大きなのこぎりで雪をブロック状に切り出す、なかなか体力を使う仕事です。

最近は薪作りのバイトもしています。

木を伐倒して30cmほどの丸太に切り、運搬車で運んで薪割り機で割るという仕事です。

ただ、木を倒す作業は危険を伴うので、緊張感を持って取り組む必要があります。

こうした仕事はガイド業とはまったく関係のないように見えるかもしれませんが、田舎ではこうして仕事を掛け持ちすることは珍しくありません。

人手が必要なところへ行き、自分にできることで収入を得る。

それが田舎で暮らす一つのスタイルだと感じています。

こうした仕事を嫌だと思ったことはありません。

普段経験できないことばかりで、新しい知識も身につきますし、地域の人とのつながりも増えます。

ただ、本音を言えば、もっとガイドの仕事そのもので忙しくなりたいという気持ちもあります。

個人事業主にとって「休み」は売上ゼロを意味する

会社員であれば、連休や年末年始に実家に帰っていても、月給制なら給料は変わらず支払われます。

しかし個人事業主はそうはいきません。

自分が働いた分がそのまま売り上げになるので、予約が入らなければその日は売上ゼロです。

貯金を切り崩すか、貯金の減りを緩やかにするためにバイトに行くか。

この二択しかありません。

だからこそ、ガイドのない日はできるだけバイトを入れて、少しでも収入があるようにしています。

田舎で個人事業主として生きていくなら、地域の中に仕事のつながりを作っておき、いつでも働ける関係性を持っておくことが大事だと感じています。

なぜ「月商」だけでは実態が分からないのか

売上と手取りの差は、経費と税金・社会保険料の負担です。

ガソリン代や道具などの消耗品費はガイド業を続ける限りかかり続けますし、国民健康保険料や住民税は、会社員のように会社が半分負担してくれるわけではなく、全額を自分で負担します。

年間を通して繁忙期と閑散期の差が大きい仕事だからこそ、「今月は儲かった」で終わらせず、1年単位、できれば数年単位で収支を見ておく必要があると感じています。

2026年3月、妻が仕事を辞めました。

収入が減ることは分かっていましたが、「何とかなるだろう」と思っていました。

そんなある日、ポストに「国民健康保険税納入通知書」という封筒が届きました。

開けてみると、年額556,400円。

7〜12月まで毎月94,000円ほどの支払いになる金額です。

妻が仕事を辞めたことで、世帯主である私のもとへ国民健康保険税の請求がまとめて届いたのです。

保険料がかかること自体は分かっていたつもりでしたが、実際に金額を目の前にすると声が出ました。

何か減免制度がないかと役場に相談にも行きましたが、結果的に減免はなく、そのまま支払っています。

田舎で個人事業主として暮らすということは、こうした社会保険料の負担も自分たちでまるごと引き受けるということなのだと、あらためて実感した出来事でした。

田舎で個人事業主として生きるということ

こうして数字を並べてみると、田舎でガイド業をして生きていくことは、決して楽な道ではないと分かります。

それでも、お客様と一緒に川を下り、魚が釣れた瞬間を喜び、北海道の自然を案内している時間は何にも代えがたいものです。

いつかはアルバイトに頼らず、ガイド業だけで一年を通して生活できるようになりたいと思っています。

そのために、日々の仕事を積み重ねながら、ホームページやブログでの発信も少しずつ続けています。

「田舎でも自分の仕事で暮らしていける」という姿を、これからも目指していきたいと思います。

これから地方で個人事業を考えている人へ、確認してほしいこと

もし今、地方での独立・開業を考えているなら、私の経験から次の3点は先に考えておくことをおすすめします。

  • メインの仕事一本で、年間を通して安定した収入になるか。 季節性のある仕事なら、閑散期の収入をどう埋めるかまでセットで計画する
  • 売上から経費・国民健康保険料・住民税を引いた「本当の手取り」で考える。 会社員時代のように保険料を会社が半分負担してくれるわけではなく、負担は基本的に全額自分持ちになる
  • 地域の中に「困ったときに仕事をもらえる」関係性があるか。 田舎では、こうした横のつながりが、閑散期の収入源そのものになる

これは私の一つの事例であり、業種や地域によって数字は変わってくるはずです。

それでも、「月商〇〇万円」という華やかな数字だけを見て判断するのではなく、年間トータルでの収支・保険料まで含めて考える視点は、どんな地方での個人事業にも当てはまると思います。

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