林業は日本の国土を守る仕事だと思っています。しかし、その仕事内容は命と引き換えレベルに危険です。そのうえ給料が安い・・・
国土を守るということと、命の危険があるにも関わらず給料が安いという矛盾・・・
なんでこんなことになっているのでしょうか?
こういう事実を知らない人が多いからなんんでしょうか?
今回は林業に従事する私がこの問題について考えてみました。
・なぜ林業は国土を守るのか
・林業の作業内容がマジで危険
・林業は国土を守っているのに給料が安い理由
この3つの件について解説して行きます。
なぜ林業は国土を守るのか
山に生えているのは木です。木は根を張り、山の表土をしっかり抱え込み崩れ堕ちないようにしてくれています。
しかし、表土を支えてくれている木や森は人間が管理しなければ危険な状態になりえます。
人工林であれば間伐の手を入れないと、森は密集しすぎて、質の悪い木ばかりが育ちます。
質が悪いということは、木の育成も悪く根の張りも悪くなり、倒れやすく、折れやすく、土も抱えない林になってしまします。
そうなると台風などがきた時に土砂崩れなどの災害が起きやすくなります。
つまり、林業で働く作業者がいることで、林の管理を行い、災害などの発生を抑えているということが言えると思います。
林業の作業内容がマジで危険
平成30年度の日本の林業作業者の死傷者数は約1,400人弱と産業界でも異常な数字です。
年間死亡者数は40人とこれも異常です。全産業の死亡事故のおよそ4%を占めています。これも異常な数字です。
作業環境や作業内容も安全なことは一つもありません。
- ハチに遭遇する
- チェーンソー、刈払機で脚を切る
- 伐倒木の下敷きになる
- 枯れ枝が落ちてきて体に当たる
- 重機が林道の下に落ちる
など、命の期間だらけの作業現場です。実際に私も背骨を骨折する大怪我を山での作業中にしました。
林業は国土を守っていて、作業内容も危険なのに給料が安い理由
私の場合、林業の作業をしたら日給11,500円です。一日この値段で命を売っているような状態です。
この給料どう思いますか?なぜ、命と引き換えレベルに危険な現場で働いているのに給料はこのレベルなんでしょうか。
考えられる理由は・・・
①林業の体質が古い
林業に従事している人の年齢は高めです。60歳でも若手と言われる業界です。
そのため、昔からずっと日給は10,000円前後が当たり前とされてきています。いわゆる「そういうものだから」ってやつです。
ずっとこの日給でやってきた人たちが多いので、この値段を疑うことなく続けてしまっている背景があるのではないでしょうか。
②林業が国土を守り、危険な仕事というのを世間に認知されていない
先日、初対面の人に、林業は命と引き換えレベルの危険な仕事ということと、給料は日給10,000円前後という話をしたら「命の危険があるのにそんなものなの?」と驚かれました。
世間の反応というのもとしてデータが少なすぎますが、認知されていない証拠だと思います。
③林業事業体・作業者が給料をあげる工夫をしていない
単に林業事業体に給料を上げろ!と文句を言ったところで給料は上がりません。
作業者が知恵を絞り、作業効率を上げ、無駄な経費を削減する工夫をしなければ給料は上がらなくて当然です。
①で述べたとおり、林業界は古い体質が続いているので、そこの古い考えから新しく若い考え方に変えていかないと未来はないと思います。
まとめ
以上をまとめると
・なぜ林業は国土を守っている
・林業の作業内容がマジで危険
・林業は国土を守っているのに給料が安い
ということをお分かりいただけましたでしょうか。
正直なところこんな簡単にまとめられて、解決するような話ではないのはわかっています。書き出したら論文になります。
林業に就く作業者は命をかけて仕事をしています。どうかこの事実だけでもわかっていただければ幸いです。
日本の国土の7割は森林に覆われていて林業がなければ森林は無法地帯と化してしまいます。
今日でも山で作業している作業員がいるからこそ守られている自然があります。
この林業という素敵な仕事が世間に認知され、命をかけて仕事をしていることが広まればいいと思います。
コメント
[…] ・林業は国土を守る重要な仕事の割に作業員の給料が低いのはなぜか。 […]