何かを始めるのに、大勢の需要はいらない。『たった一人』から始まったツアーの話

ガイド業の裏側

新しいサービスや活動を始めたいと思いながら、「本当に需要があるのか分からない」と足踏みしていないでしょうか。

大勢に向けて考え始めると、答えの出ない市場調査のような堂々巡りになりがちです。

でも、需要を確かめてから動く必要は、実はありません。

「大勢」ではなく「一人の需要」から始めていい

新しく何かを始めるとき、最初から大勢を対象に考えてしまうと、判断材料が多すぎて動けなくなります。

実際に有効なのは、目の前の具体的な一人のために、何をすべきかを考えて動くことです。

一人分の需要のために用意したものは、そのまま他の人にも使えます。

一人が本気で欲しがっているなら、同じものを欲しがる人は、他にも必ずいるからです。

大勢の需要を確かめてから動くのではなく、目の前の一人のために動いた結果として、大勢に届く。

順番が逆なだけで、たどり着く場所は同じです。

これは、新しいサービスを立ち上げるときの定石でもあります。

最初から広く多くの人に向けて設計しようとすると、誰にも刺さらない中途半端なものになりがちです。

むしろ、たった一人の具体的な相手が心から欲しがっているものを、手間を惜しまず用意する方が、結果的に確実な一歩になります。

規模が大きくならない方法から始める、という考え方は、事業に限らず、ブログや作品づくりなど、何かを新しく始めるときにも応用できます。

自分も、そうやって今の仕事を始めた

自分自身、今のドリフトボートフィッシングツアーは、たった一人のゲストの一言から始まりました。

ガイドを始めて1年目の夏の終わり、サポートで入ったツアーで出会ったゲストから、SNSで「今度フィッシングツアーやってよ」と連絡がありました。

まだ自信がなく、「来シーズンまでに修行しておきます」と濁して返信すると、「絶対だからね」と念を押されました。

翌シーズン、本当にそのゲストから予約の連絡が来ました。

そこから、ドリフトボート用の道具を買い、実際に川に出て練習し、そのゲスト一人のためにツアーを始めました。

このゲストの一言がなければ、フィッシングツアーを始めていなかったか、始めていたとしても、うだうだ悩んで何年も先延ばししていたと思います。

正直、その時点では自信もありませんでしたし、他にも需要があるかなんて考える余裕もありませんでした。

ただ、目の前の一人との約束を守るために、道具を揃え、練習を重ねただけです。

たった一人のために準備を進めていたら、気づけば他のゲストも迎えられるようになっていました。

一人にでも需要があれば、同じようにドリフトボートに乗りたい人は、他にもいる。

始めてみて、そのことがよく分かりました。

「その一人」は、どうやって見つかるのか

わざわざ市場調査をしなくても、「その一人」は、向こうから見つかることが多いと思っています。

繰り返し同じことを頼んでくる人、わざわざ連絡してまで欲しがってくれる人。

そういう相手は、たいてい自分の周りにすでに現れています。

大事なのは、その一人からの頼みを「いつか」で流さず、期限を切って本気で向き合うことです。

「絶対だからね」と念を押されたことが、自分にとっては先延ばしをやめる十分な理由になりました。

お客さんが一人では不安?

「その一人の需要が、他の人にも当てはまるとは限らないのでは」と不安になるかもしれません。

たしかに、一人の頼みがそのまま万人の需要とイコールになるわけではありません。

ただ、少なくとも「欲しいと言ってくれる人が、現実に一人はいる」という事実は、机上の市場調査より確かな手がかりです。

その一人のために形にしたものを、少しずつ他の人にも試してもらいながら調整していけばいいだけです。

最初から完璧な万人向けを目指す必要はありません。

動き出すきっかけは「ノリ」でいい

何かを始めるときの決め手は、綿密な計画よりも、誘われたときのノリの良さだったりします。

「やってよ」と言われて、「やります」と答えてしまう。

その勢いのまま、できるかどうかを後から追いかける形でも、案外なんとかなります。

できるかどうかを先に考えすぎず、頼まれた・誘われたタイミングで一歩踏み出してしまう方が、結局は早く形になります。

見切り発車してなんとか形にするって感じです。

今、足踏みしているなら

もし今、需要が分からず何かを始められずにいるなら、大勢のことは一旦忘れてください。

目の前で「欲しい」と言ってくれている一人がいるなら、その人のために何ができるかだけを考えてみてください。

需要を先に確かめる必要はありません。

一人のために動いた先に、思いがけない広がりが待っているかもしれません。

計画を練り直す時間があるなら、その時間で目の前の一人に連絡を取ってしまう方が、結局は早いのだと思います。

ちなみに、あのときのゲストの一言から始まったドリフトボートフィッシングツアーは、今もGAC・River Toursで続けています。

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