林業に転職を考えているけど、実際の林業の仕事ってどうなの?
山の仕事は一般的に目に付きにくいのでイメージしにくいですよね。
林業に転職した私から言わせてもらうと、体力も付きますし、いい仕事だと思います。しかし、悪い面もあります。
今回は林業の仕事でのいい面悪い面を踏まえながら紹介したいと思います。
- 日本の林業の実態
- 転職した林業での給料などの金銭面
- 林業の出勤から帰宅まで
- 林業の仕事内容
- 緑の雇用制度を使ってレベルアップ
- 日本一危険な産業:林業
上記の順に沿って解説していきます。
日本の林業の実態
地方創生の絡みでやたら林業が注目され、都市部の若い層が林業に従事しているという、いかにも林業が活性化しているという印象がありますが、実際そんなことはありません。
材木を山から切り出して、それを売って自立した商売をしている林業事業体は、全体の1割程度です。
その他の9割は国など公的な機関からの請負いで仕事をし、補助金や交付金を使って運営しています。
つまり多額の税金が使われています。
下がり続ける木材の値段
丸太の値段が1980年ごろのピークを境にどんどん下がり続け、現在はその半分〜1/3程度の価値しかありません。
50〜60年かけて育った直径30センチ、長さ4mのスギの丸太1本の値段が3000円〜4000円です。
材木の品質が下がれば、値段はもっと下がるのでいくら山から運び出しても経費を差し引けば赤字になることの方が多いのです。
そのため税金を投入し続けなければ、日本の林業は立ち行かなくなっている状況です。
林業の給料などの金銭面
転職するのに気になるのはやはり金銭面。生活する上で最も大切な要素です。
多くの場合、試用期間だと日給7,000円〜9,000円。試用期間が終わると日給10,000円から徐々に上がっていくような感じです。
事業体によって、日給月給で給料が計算されるところもあれば、決まった月給を支払うところもあります。
交通費や住宅補助などの手当やボーナスが出るところもあります。
林業に転職を考える場合、給料面は特に気にした方がいいです。
転職して聞いていた話と違ったということがないように、徹底的に調べるべきです。就職する前に事業体に問い合わせましょう。
私の場合ですが、試用期間は日給9,000円で現在は日給11,500円です。
仕事に出れば出るだけ月の給料が増えます。
登山道の草刈りなど、普段の業務より体力を使い拘束時間も長い仕事の場合は日給30,000円近く出る日も年に数日あります。
交通費や住宅補助などの手当はなく、年度末にボーナスはあり。
平均すると、月の給料の手取りは20万円程度です。田舎の仕事の中では給料としてはいい方だと思います。
仕事で使用する機械の購入
林業に就職してから自分のチェーンソーや刈り払い機を自費で購入しました。
事業所が半額補助してくれるので、経済的負担は少ないですが、林業を始めるのに初期投資が必要な場合があります。
チェーンソー・刈り払い機・防護ズボンなど全部で20万円くらい初期投資でかかりました。
他の林業事業体に所属する人から聞いた話では、必要なチェーンソーなどの機械を全て支給してくれたという話も聞きますので、これも転職する前に要確認です。
林業の出勤から帰宅まで
林業やってる人の一日って一体どんな生活しているのか気になりますよね。
林業は基本的に日の出ているうちしか作業ができないので、定時退社は当たり前です。
朝は事業所に7時〜8時ごろ集合し、退社は大体17時頃の事業所が多いです。
早いところは朝6時集合で15時解散なんてところもあります。
日の長い夏はたくさん仕事ができますが、体力を使うので、終わり時間を決めておかないと次の日、1週間の体力が持ちません。
無理するのは禁物です。
私の出勤から退勤するまで場合を紹介
- 7:30 事業所集合 打合せ後現場へ出発
- 8:30 現場到着 作業開始準備
- 8:45〜12:00 午前現場作業
- 12:00〜13:00 昼休み
- 13:00〜16:30 午後現場作業
- 17:00 事業所集合
朝と夕方に必ず事業所で集合します。
朝直接現場集合して夕方現場から直帰することはありません。
現場は事業所から車で10分のところもあれば1時間以上かかるとことも。
車で到着しても、そこから徒歩で30分くらい歩いてやっと作業現場に着くこともあります。
林業の仕事内容
林業の流れを見ていきましょう。畑に植えた野菜を何十年もかけて育てるようなイメージです。
地ごしらえ
木を植える前に、木を切った後の土地を整備し、潅木などを刈払い、木を植えられる環境に整えます。
植栽
木の苗(スギ、ヒノキ、カラマツなど)を等間隔に山に植えます。1日に200本〜300本植えます。
下刈り
植栽で植えた木の周りに雑草や雑木の赤ちゃんのような木の小さいものが生えてくるので、それを植栽した木を残すように刈払い機で刈り取ります。
5年くらい毎年行う場合もあります。
除伐
スギ林やヒノキ林に生えてしまった直径3〜15㎝程度の雑木を刈払い機で全て刈り取る作業です。
下刈りより木が大きくなった後に行う作業で、林を放置しておくと雑木がたくさん生えてしまい、造材するときの邪魔になるので全て除去します。
間伐
畑の野菜でも成長の悪いものは間引きしますよね。
それと同じく、成長の悪い木や、勢いのある木の邪魔をしているような木をチェーンソーを使って間伐し、残す木の成長を手助けするための作業です。
造材・搬出
いよいよ収穫です。
育った木を伐倒し、規定の長さに揃えて切り、重機を使って搬出します。搬出を終えた土地をまた地ごしらえをしていきます。
こういう周期で林業は回っています。場合によってはこの中にない作業もありますが一般的にはこんな感じです。
体力自慢に林業は向いている
全部体力勝負なので体を使って汗を流して仕事をしたい方にはもってこいです。
一つも室内での作業がありません。
私のいる事業体は、造材などすることはあまりなく、間伐、除伐がメインです。
夏の一番暑い時は過酷で、1日に薄めたスポーツドリンクを4ℓ以上飲まないと倒れます。
林業に就職した新人が辞めていくのは、夏の暑い時期を乗り越えられないパターンが多いです。
本当に暑くて体力の消耗も激しいので、林業に転職する際は心構えをしておきましょう。
緑の雇用制度を使ってレベルアップ
林業で働きながら研修に参加し、給料をもらいながら林業に関わる様々な資格が取れます。
転職者にとってベテランに追いつけるチャンスで、講義の中で林業の基礎・基本を学べます。
緑の雇用は都道府県単位で行われていて、行っていない県もあるので就職するときに調べた方がいいです。
私も福島県の緑の雇用制度に参加しました。
年間約28日間研修日があり、チェーンソーや刈払い機の作業資格、狩猟の免許、林業に従事するにあたって必要な免許などを取得することができます。
この研修は3年間続き、年数が上がるごとに取れる資格もレベルアップできる。
林業関係の研修をうまく利用していくのも、短期間で腕前をあげるのに重宝しますね。
日本一危険な産業:林業
私は山での作業中に後ろから倒れてきた木に気がつかず、頭に直撃しました。
その結果、背骨を折る大怪我をして現在休業中です。→退職しました。
林業は命と引き換えレベルに危険です。
私が立っている位置が少しずれていれば死んでいました。
もし転職をお考えの場合は、こういった危険があることも頭にいれて検討して欲しいです。
まとめ
以上をまとめますと
- 日本の林業の実態は今のところほとんど税金でまかなわれている
- 林業での給与は事業所によって異なるが、田舎の仕事としてはいい方
- 林業は定時退社できる素晴らしい労働環境
- 林業の仕事内容は、畑の野菜を育てるのを巨大化・長期化させたイメージ
- 緑の雇用の研修に参加してレベルアップできる
- 林業は命を落とす危険性の高い産業なので、転職する際は要検討すべき
以上のように林業にはいい面も悪い面もあります。
最悪の場合、命を落とします。もしくは重い後遺症を患う怪我をするかもしれません。
日頃から、安全に気をつけて作業しなくはいけません。
林業への転職は成功か失敗かで言えば、私の場合は背骨を折る大怪我をしたので失敗です。
命あってこその人生なので、あなたにとって正しい選択をされることを願っています。
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