林業で大怪我をして気づいた、『また今度』は来ないかもしれないという話

自分の考え・記録

「また今度でいいや」「来年から本気でやろう」。

そう思って、やりたかったことを後回しにしていることはありませんか。

私も同じでした。

でも、あることがきっかけでその考え方が変わりました。

私は一度、山で死にかけたことがあります。

事故が起きるまでの道のり

北海道教育大学岩見沢校でアウトドアライフを専攻したあと、北海道美深町の地域おこし協力隊になり、子どもの運動指導や夏休みの体験キャンプの運営を3年間、その後も子ども関係の仕事を2年間続けました。

そこから縁があって、福島県南会津町の森林組合に勤めることになり、林業の仕事を始めました。

山での事故(詳しい経緯は別記事に書いています)

福島県南会津町の森林組合で林業の仕事をしていたとき、山で作業中に頭上から枯れ枝が落ちてきて直撃し、背骨を折る大怪我をしました。

10日間の寝たきり生活を経て、コルセットをつけての生活が全治5ヶ月続きました。

幸い麻痺や障害は残りませんでした。

事故そのものの詳しい経緯や、林業の危険性については【やめとけ】林業はマジで危ない。僕が林業をやめた理由。にすでに書いているので、ここでは繰り返しません。

この記事で書きたいのは、事故そのものよりも、その後の自分の中に何が残ったかという話です。

生きるか死ぬかは、ほんの数センチの差だった

退院してからも、しばらくの間、あとちょっと立っている位置がずれていたら死んでいたかもしれない、という感覚が抜けませんでした。

人生100年時代と言われる中で、なんとなくのほほんと生きていましたが、死はいつでも隣り合わせなのだと、頭ではなく体で理解した出来事でした。

実はこの事故が起きたのは、第一子が生まれてからちょうど1ヶ月後のことでした。

生まれたばかりの子どもがいる状態で、あと数センチの違いで自分がいなくなっていたかもしれない。

そう考えると、それまでとは仕事に対する感覚が変わりました。

危険な林業の仕事は、もう続けられないと思ったのです。

「また今度」は来ないかもしれない

退院直後は、「もっと懸命に生きよう」「二度と時間を無駄にしない」と誓っていました。

でも残念ながら、数年経つと人はすぐに元に戻ります。

私も例外ではなく、怠けたり、愚痴を言ったり、日常の小さな悩みに振り回されたりする日々に戻っていきました。

それでも、あの経験から学んだことは今も残っています。

死が身近にあることを知っているからこそ、「今やりたいこと」を後回しにしない方がいいということです。

「また今度」「来年でいいや」と思ったその”今度”は、もしかしたら来ないかもしれません。

「今はじめてももう遅い」と思ったその瞬間が、人生の中で一番若い瞬間でもあります。

あなたにも、「また今度」と言いながら先延ばしにしていることが、きっと一つくらいあるはずです。

大掛かりなことである必要はありません。

本を買って勉強を始めるとか、何かを作って売ってみるとか、行ってみたかった場所に行ってみるとか。

小さなことからでも、始められることはあると思います。

事故のあと、私が選んだ道

林業を辞めたあと、私は知り合いのいる北海道・美深町へ2回目の移住をしました。

定職はなく、知り合いの農家などでアルバイトをしながらしばらく過ごしましたが、このままフリーターを続けていても収入は上がらないと感じ、個人ガイドとして活動を始めることにしました。

1年目はカヌーとボートツーリングのみ、2年目からドリフトボートフィッシングツアーを始め、今はガイド業を続けています。

もしあの事故がなければ、今も林業を続けていたかもしれません。

危険と隣り合わせの仕事を続けるという選択肢もあったと思いますが、あの日の経験が、今の働き方を選ぶ大きなきっかけになったのは間違いありません。

あの経験は、今のガイドの仕事にもつながっている

ガイドの仕事も、自然を相手にする以上、リスクと無縁ではありません。

増水していたり、雨が強かったり、風が強かったりすると、ツアーを開催するかどうかの判断が悩ましいことがよくあります。

以前、飛行機に乗ったときに、翼にうっすら雪が積もっただけで、パイロットが安全のためにいったん引き返し、除雪剤を散布してから改めて離陸するという場面に出くわしたことがあります。

乗客からすれば「これくらいで?」と思うような判断でしたが、人の命を預かっている以上、リスクを取らない判断を優先していたのだと思います。

あの林業の事故を経験しているからこそ、私はこのパイロットの判断に強く共感しました。

ちょっとしたリスク要因を甘く見た結果、取り返しのつかないことになる可能性があることを、自分の体で知っているからです。

だからこそガイドの仕事でも、増水や天候の状況を見て、行けるのか行けないのかの線引きを持っておくことを大切にしています。

あなたの「また今度」は何ですか

命の終わりは、思っている以上に突然やってきます。

私が林業の現場で学んだのは、その単純で、でもどうしても忘れてしまいがちな事実でした。

人間は本当に、いつ死ぬかわからない。

だからこそ、やりたいことを後回しにしないでほしいと思います。

私自身、この教訓を完璧に体現できているわけではありません。

それでも、山で頭に枝が直撃したあの日のことを思い出すたびに、「また今度」で済ませていいことなのか、一度立ち止まって考えるようにしています。

この記事を読んでいるあなたにも、「また今度」と言い続けていることが、何かあるのではないでしょうか。

旅行、資格の勉強、ずっと会いたいと思っている人、始めたいと思っている仕事。

この記事をきっかけに、その一つだけでも、今日か今週中に小さく動かしてみてほしいと思います。

改めて振り返ると、この経験から自分の中に残っているのは次のようなことです。

読んでいるあなたの状況に当てはめて考えてもらえたらと思います。

  • 生きるか死ぬかは、ほんの数センチの差で決まることがある
  • 「また今度」と思ったことは、もしかしたら来ないかもしれない
  • 誓ったことも、数年経てば元に戻ってしまう。それでも、思い出すたびに立ち止まる価値はある
  • 命に関わるリスクを甘く見ないという感覚は、今の仕事(自然を相手にするガイド業)の判断にもつながっている

大きな怪我をしたこと自体は、できれば経験しないに越したことはありません。

それでも、あの日の出来事は、今の私の働き方や暮らし方の土台のひとつになっています。

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